運命のように君を愛してる~先生との赤い糸~

心から愛してるから…



【優姫】


翌日。


「―――次の文章を雨宮さん、読んでくれる?」

「はい」

椅子から立ち上がり、その場で国語の教科書を読む。

「―――はい、そこまで」

幸野先生に声をかけられて私は椅子に座って、そのまま

目線を黒板に向けた。


…幸野先生、今でも枢のこと好きなのかな?

枢は「大丈夫だ」とは言ってたけど…正直、不安になる。


いったい、どうすればいいんだろうか?


私は幸野先生の大人の雰囲気を感じながら、不安な気持ちを振り払っていた。




昼休み。


いつもように樹里と陸と一緒に昼食食べていると、とこからか他の女子の声が聞こえてきた。

「ねぇ、切田先生と幸野先生が付き合ってるんだって!」

「えっ、マジで?」

「なんかね。幸野先生が赴任して来た日に、数学準備室で抱き合ってる2人を見た子がいるらしいよ」


…え?


枢と幸野先生が…抱き合ってた!?


「おい、優姫。大丈夫か?」

「陸…」 

「あいつらの言った事なんか真に受けるなよ」

「そうそう、ただの噂だよ♪切先があんな男遊び人と今さらどうにかなるとか、絶対にありえないから!」

「『男遊び人』って…」

「お前、顔怖ぇよ。…樹里」

「だって、本当の事じゃん」

「まぁな…。優姫、お前は切先の『婚約者』だろ?だから、信じてやれよ」

そう言って、陸は私の髪をクシャグシャに撫でて微笑んだ。

「うん、そうだね…」


…私が枢を信じてあげなくきゃ!


「…雨宮さん」

話がちょうど落ち着いた頃、噂の女性の声がした。

「こ、幸野先生!?」

「「げっ!?」」

「フフ、驚かせちゃったかしら?ごめんなさい」

「いえ…ところでなにか私に用ですか?」

「…ちょっと聞きたい事かあるんだけど、準備室で話せるかしら?」

「はい」

「「……」」

心配そうに私のほう私を見つめる2人に「大丈夫だよ」と微笑んで、幸野先生と国語準備室に向かった。

< 79 / 122 >

この作品をシェア

pagetop