運命のように君を愛してる~先生との赤い糸~

真実と再会



【佳宏】


あれはもう27年前になる。(今年で)

大学の卒業をまじかにして、俺と瑠美は結婚するはずだった。


そんなある日。

「おい、佳宏!」

親友の仁田淳が、なにやら落ち着かない様子で俺を呼び止めた。

「淳、そんなとに慌ててどうした?」

「俺は聞いてねぇぞ」

「はぁ?なにを言って…」

「だから、お前と瑠美が別れたって話!」

「そんな事あるわけないだろ。だいたい、そんな話をどこで…」

「空から聞いたんだよ。瑠美が『佳宏と結婚出来ない』って言ってるって」

「え…?」

俺はその言葉を失った。

「瑠美と話してくる」

「瑠美は、もうお前の所には戻って来ねぇよ」

そう声がして後ろを振り向くと、幸野准一がいた。

「なんで、お前にそんな事がわかるんだよ!?」

「瑠美は俺と結婚するんだかな」

「嘘だろ…」

「本当。9月には子どもも産まれる」

「…”子ども”だと!?」

言葉を失っている俺の代わりに淳が口を開く。

「それ、なにかの間違いじゃ…」

「さぁ、あいつ。お前とも俺とも寝てたんじゃねぇの?」

「瑠美はそんなヤツじゃない!」

「じゃぁ、なんでお前に『妊娠した』って言わなかっただろうな?」

「…っ!」

「まぁ、そう事だから。…もう瑠美に近づくなよ」

そう言い残して、幸野はその場を去って行った。


そして…


【高木瑠美:ごめんね。
佳宏…】

というメールを最後に、俺は留美と連絡が取れなくなってしまった。


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