伊賀襲撃前夜
「…」
祥之介は五関の身体をそっと地面に横たわらせ、二人は五関の亡きがらに手を合わせた。
「成葉、大丈夫か?」
「ああ…」
「矢を抜くぞ。痛いが我慢しろよ」
祥之介は襦袢を破って成葉の身体に巻き止血しながら、矢を抜いていく。
「うっ!」
矢を抜かれる度に激痛に顔を歪める成葉。
「これで最後だ」
祥之介は成葉の足に刺さる最後の一本を抜き取った。
「うっ…」
声を上げずに痛みに耐えた成葉の肩を祥之介は優しく抱き寄せた。
「よく頑張ったな」
成葉は目を閉じて体重を祥之介に預ける。
「祥之介。…もう一度、お前に会いたかった…」
「俺もだ」
「…伊賀を救えなかったな。すまない」
「馬鹿、まだ戦は始まってないだろ。負けるとは決まってないさ」
「ふっ…」
祥之介の言葉に、成葉の顔がふと緩んだ。
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