ホストの憂鬱
第五章
俺は麗子ママに連れられ流れ川通りを歩いた時に麗子ママの凄さを知った。

会う同業者、ホストもホステスも挨拶してくるのだからびっくりする。

別に媚びへつらうわけでなく、好かれているからだとすぐにわかる。

みんな笑顔だし、応対する麗子ママも笑顔だ。

これがカリスマもしくは人徳だと思った。

そのとなりを歩くことに俺はかすかばかりの優越感にひたることができ、いつかこうなりたいと思った。

ジュリアは流れ川通りの真ん中から仏壇通りに入ってすぐのビルにあった。

入口にはライオンの口から水が流れる噴水がぽつんとおいてあった。

ぽつんと見えたのはそれ以上にビルが綺麗で目立ったからだった。

そのビルの六階にジュリアはあった。

ひろ子さんがドアをあけて「ただいま」と言った。

俺はいかにも高そうな店に正直びびっていた。顔色にもでていたのだろう、すかさず麗子ママが俺の顔をのぞきこむようにして言った。

「大丈夫よ、今日はただだからね。自分できたときはもらうけどね」

しっかりしてるな。だけど俺のお金で来れるのだろうか?

俺はこういったお店にきたことがないから値段などの想像がつかなかった。
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