ホストの憂鬱
第九章
俺と愛ちゃんが家を出たのは七時を少し過ぎたくらいだった。

それまでの時間は俺にとって、とても有意義に感じられる時間だった。

とくに何かをしたわけじゃない。

ただ二人で寄り添いテレビを見る。

たったそれだけの事が俺にはとても幸せに感じる。

多分それは愛ちゃんも同じ気持ちのはずだ。いや、そうであってほしいと俺は心からそう思った。

そして愛ちゃんが名残おしそうに言った。

「そろそろ行こうか」

「うん」と俺も名残おしそうにこたえた。
< 84 / 134 >

この作品をシェア

pagetop