いちごみるくと恋わずらい

「……モカって俺が好きなの?」


心が落ち着く暇もなく、そんなことを言われて目を見開く。


「ええええっ!?」


どうしてそんな話に!?

と素っ頓狂な声を上げてしまった私に、卯月くんは「だよな」と笑った。


「モカが好きなのは菊池だろ。じゃあ別に俺と出かけたところで何の問題もないじゃん。付き合ってねーもん」

「え、ええええー?」


そんなものなの?

男女交際禁止、って校則、そんなにゆるい感じだったの?


「当委員会において男女の友情は一切禁止しておりません」


わざとらしく真面目な顔をして言い放った卯月くん。


「ゆ、ゆうじょう……」

「そ。友情。それならいいだろ?」


いいだろ、と言われても。

天下の風紀委員長様がいいと言うのなら、きっとそれは間違いなくデートなんかじゃないし、許されることなのだろう。


それでもやっぱり少し迷ってしまって、すぐには頷けないでいる私の頭を卯月くんがポンっと軽く叩いた。


「モカ」


「は、はい」


「俺たち、友達になろう」


にっこり笑った卯月くんに、不覚にもキュンと胸が鳴いた。

< 36 / 64 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop