いちごみるくと恋わずらい

****

「えええっ!?じゃあ結局、チューもしてないの!?」


驚いたような声を上げた名桜ちゃんに、私は慌ててしーっと唇に人差し指を立てた。

誰が聞いてるか分からないのにそんな大声あげないでー!


────今は、放課後。


名桜ちゃんにはちゃんと話しておこうと思って、中庭でふたり、ベンチに座っている。



「当たり前だよ。だって」

「別に付き合ってないもんな、俺たち」


後ろから急に会話に割り込んできた声に、ドキッとした。

振りかえらなくてもそれが誰かくらいわかるけど、反射的に振り返る。


「卯月くん」


呼ぶと、嬉しそうに笑ってくれる。

それに私も嬉しくなって、思わず笑みがこぼれた。

それを見た名桜ちゃんが、「やだ、もう」とあきれたように笑った。


「これのどこが付き合ってないっていうのかあたしには甚(はなは)だ疑問だわ。そんな幸せオーラ出しといて」

「うらやましいのか?」

「べっつにー。あたしはモカが幸せならそれでいいわよ」


ふいっと顔を背けてそう言った名桜ちゃんに、「名桜ちゃん大好き!」と思わず抱きつく。

こんなに優しい人たちに囲まれて、私って本当に幸せ者だ。

< 62 / 64 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop