黒き時の物語

登録


「ここです!」

街の東には大きな闘技場があった
あたりには出店や人々が溢れていた

「おー!サンキュー!」

キルは闘技場の入口に行くと
選手登録を発見し
登録を始めた

「カラサントから来た
キルド・エンカだ
闘技大会に参加したい」

長いテーブルに役員のような
人達が何人か座っていた

「キルド・エンカ様ですね
選手登録番号は210番になります
大会開始は明日10時からです」

キルは多いな…と思いながら
選手控えを受け取った

しかしこの男一晩どうやって
すごす気なのか

「大会は明日からなんだね
今日はどうするの?」

ルカは登録を終えたキルに
駆け寄った

「んーそーだな、どっか
泊まれる宿とか知らないか?」

キルはルカにそう尋ねた

「宿なら闘技大会に合わせて
いくつかあるけど
もう他の選手達で
埋まっちゃってると思う…」

ルカは少し言いづらそうに言った

「……まじか…」

ひきつった笑顔で途方に暮れるキル

「あの…もしよかったら家に来る?」

ルカは少しもじもじしながら言った
当のキルはと言うと…

「……!?い、いやっ!それは
悪いって!ほら!会ったばっかだし!」

顔を真っ赤にして
完全に動揺していた

「大丈夫だよ?キル優しいし
悪い人じゃないもん!」

ルカはくるくる回りながら
笑顔で言っていた

(こいつ、簡単に信用しすぎだろ!)

もちろんキルがいい人を
装っている訳ではないが

「さ、行きましょ?」

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