二重人格の彼
片思い
「………なんかごめん」


あの話を聞いてから早苗は謝ってばかり……


「もうわかったから、これ以上謝れるとあたしも罪悪感がでてくる」


先輩は麻実さんが好き。


あたしの中で確定している。


「凛、今言うことじゃないけど」


早苗が申し訳なさそうに口を開いた。


「なに?」


「今日、日直掃除だよ?」


……今日あたし日直だったんだ。


日直は放課後、準備室で掃除がある。


ていうか、今言う?


「ごめん、もう授業終わったから」


今が放課後っていうのを早苗に聞くまで分からなかった。



あたしは早苗と別れ急いで準備室に行った。


準備室に着くと、丁度先生はいなくてあたしだけだった。


先生監視はやめてほしい。


汚い準備室を掃除していると、


「先生はいる?」


準備室に入ってきた人物が。


今はいませんよ、そう言おうと顔を見たら、


「先輩……」


先輩がいた。


「あぁ、神田か、そう言えばなんで最近来ねぇんだ?」


「ま、麻実さんに、もう来なくて大丈夫って言われて」


冷たく言われたことは言わずその言葉だけを伝えた。


「あぁ、麻実がそんなこと言ったの」


「先輩ッ」


「なに?」


どうしよう、聞くべきかな?


えい、言っちゃえ。


「先輩って麻実さんと付き合ってるんですか?」


……言っちゃった。


先輩は一瞬驚いた顔をして、あたしに近づいた。


「だったらなに?」


「……ッ………いえ」


やっぱり付き合ってたんだ。


確認する必要なかったな。


どうか嘘であって。


そういうあたしの願いは届くはずないのに。


「なに?まさか俺に惚れた?」


「い、いえ……まさか」


惚れてるのにそう言えない。


その自分の性格がすごく嫌になる。


素直になれない。意地っ張り。


どんどん自分が嫌になる。





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