恋の授業。



ぅぐっ……!



こっ、これが大人の色気ってものなのか?!と憎たらしく思いながら、完全に過労気味の心臓を落ち着かせようと、ホクロメガネの隣に座った。



「ちょっと早過ぎませんか?」



諭すように放たれた最初の一言にも驚かされてしまった。


早くに来て嫌な顔をされたのは初めてだ。


落ち着かせようとしたのに、更に速度を上げた心臓の痛みに耐えながら怪訝な顔を向けると



「22時の約束なのにそれより前に来たら、1人で待つことになるんですよ?」



………
言っていることは、解る。



「………」



でも、この時間に1人で外に居ることはしょっちゅうだし、そもそも偶然会った事だってあるのに。



「何のために連絡先を教えたと思うんですか?」



呆れた声と、真剣な表情だ。



「いいですか?絶対に約束の時間より前には来ないでくださいよ?」



……そんなに悪いことをした意識はなかったけど、ここまで言われちゃうと、すごく申し訳ないことをしてしまったような気になる。


ワタシは小さく頷き、少し緩みそうになってしまう唇を隠すように下を向いた。


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