恋の授業。



…目を閉じて、音楽にだけ集中する。




ガタンッ




……わっ!



折角心地よく音楽に浸ってたのに、急な揺れに電車の中身が一斉に傾く。

まるでライブ会場だ。

重力に逆らうことなく、ワタシも傾く。






…そして気付いてしまった。






この匂い…知ってる……



前に、どこかで…



そう思いながら、焦点を合わせてその匂いの正体を確かめた。



……ワイ…シャツ?



次の瞬間…
ワタシの心臓が爆発したかと思うほど飛び跳ねた。


そのワイシャツに結ばれているネクタイは
あの地味なストライプだったのだ。



ドクンッ…



頭が真っ白という言葉を、初めて体感した。



ドキンッ

ドキンッ



心臓が痛い…



苦しい…

苦しい…





苦しいと思ったら、息を止めてしまっていたらしい。





……この柔軟剤の匂い
この地味なストライプ


……

…………



この人は……



< 18 / 324 >

この作品をシェア

pagetop