恋の授業。
「ごめんっ…痛かった……?」
え?…
その言葉にそれまでの恥ずかしさが吹き飛んだワタシは思いっきり顔を戻すと、耳の垂れた悲しそうな犬…ではなく、森川君がじっと見ている。
ワタシが痛くてあんな声出したと思ったのかと理解して、そうじゃないと、顔を横に振った。
それだけじゃ伝わらなかったようで、森川君は、ん?という顔で斜めにして見せる。
「あの…、痛かったわけじゃなくて…、その……く、くすぐったくて…だから、大丈夫、だから…」
なるべく恥ずかしい言葉にならないように慎重に伝えると、森川君は『はぁ〜〜〜』と大きく息を吐いて、ワタシに体重をかけて項垂れた。
「えっ?えっ?どうしたの?」
また何かまずいことしちゃったかな…
今のやり取りを必死で思い返しても、思い当たらない。
すると森川君が、ワタシの耳元で話してくれた。
「ごめん。俺…、初めてなんだ。」
初めて?…森川君が…??
「だから、上手くできないと思うし…もし痛かったりしたら、すぐ止めるから、教えて…」