恋の授業。




「ってゆーか、そこ?!そこなの?!」



軽くため息をつきながら突っ込む綾子にごめんと謝って笑う。



「ワタシ、ビックリしちゃった。」



「ん?」



「あんなに好きだったネイルもしてなかったし、美容室にもしばらく行ってないの。お肌も…。洋服も買ってない、本も全然読んでない。」



黙ってワタシの話を聞いてくれる2人。



「でも、それにすら気付いてなかったのが一番ビックリ。時間は確かに足りなかったけど、作ろうと思えば作れたはずなんだ…でも、そうする余裕がなかったんだと思う。」



ヤバい…話してるうちに落ちてくる…



「森川君との時間は嫌じゃなかったけど、『使命感』?みたいなものが強かったのかも。」



「使命感?」



引っかかったような顔をしてマリが言った。



「うん…。森川君が…、その、不安って言ったことがあるから…、そうならないように、できることは全部しよう、みたいな…。」



「森川…そんなこと言うわけ…?」



森川君と中学から友達のマリがドン引きしている。



「う、ん。だからワタシ、そればっかりになってたみたい…。気付かないうちに、無理…してたのかなぁ…?」



改めて2人を見ると、それ以外無いでしょ、と軽くたしなめられてしまった。


< 243 / 324 >

この作品をシェア

pagetop