恋の授業。
折角だから桜の写真を撮っておこうと思いついて、道の端で一生懸命腕を伸ばす。
腕を伸ばしても
背伸びをしても…
150センチしかないワタシの伸び白は微々たるもので、スマホの画面の桜はピンクの粒々が集合体になっているだけだった。
それでも、
なんとなく諦めきれない。
歩道と道路の間にあるフェンスに跨がって更に桜に近付こうと頑張っていたとき、堅苦しい声に呼ばれた。
「君。そんな所に登って…。危険ですよ?車道側に落ちたらどうするんですか。」
振り向くのと同時に
……聞き覚えのある声にハッとする。
うわ……
でたー……
表情がすぐに作れない。
「桜、ですか?」
もー。なんで話しかけてくるわけ。
っていうか、お巡りさんかよ(笑)
「あ、ハイ。でも、もう、大丈夫です!」
さっさとここから離れよう。
「貸してください。」
……ハイ?
「な、なん…」
まだ言い終わってないのに
被せるように言い放つ。
「写真、上手く撮れなかったんでしょう?君の身長じゃ、難しいですね。」
「いや、でも…」
なんなのこの人…
「僕ならアップで撮れますが、いいなら、いいんですけどね。」
うっ……
よく見るとこの人、背高いな……
フェンスに跨がっているワタシは
それでも顔を上げている。
んー……
これだけ人通りの多い場所で変なこと出来ないだろうし…
使わせてもらうか。
「じゃあ、お願いします。」
そう言ってワタシはスマホを渡すと
ゆっくりとフェンスから降りた。