満たされる夜


田崎は俺を急かした。

まだ触っていたいと思っても、早く欲しいと言う。
甘い吐息をこぼしながら。


不意に頭をよぎる。
こんなふうに、相手の男にも甘えるんだろうか…と。


それを振り払うように髪に触れるとさらさらしていて、顔をうずめてみる。

汗や煙草の匂いに混じって、ほんのりと香水の匂いがする。
嫌いじゃない。


「ん…か、ちょう」

「裕二だ。上司の名前くらい覚えとけ。」

「ゆうじ…?」


もう一度呼ぶように言うと、素直に呼んでくれる。
どこか甘えたようなその声は、俺の昂りをより一層刺激した。


うちにはアレがない。
だけどここで我慢なんて出来ない。
田崎の求めに応じたい。

俺は田崎の手を掴むと、自分の昂りを触らせた。


「ゆうじ、早く…お願い」


若い体に溺れて、久々の快楽に溺れて、何度も抱いた。

それはたった一夜のこと。

俺を求める、あの可愛い姿も。
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