満たされる夜
「田崎、今朝は何を言いかけた」


低く響く声にドキリとする。
少し甘さを帯びたその声に、体の奥底がキュッとする。


「課長が眠れないなら、私が相手をしようかと思いまして。一般論ではセックスした後はよく眠れるみたいですよ」


言い終わらないうちに、呆れたようにため息をつかれた。
相手になんてされない。それは分かっている。
聞かれたから言っただけ。


「俺をその気にさせられるのか」


思いもよらない言葉が返ってきて、えっ、と言ってしまった。

その気にさせたら、私を抱いてくれるかも知れない?
それとも、私が課長にしてあげたら終わり?


「その気にさせます。もし課長がその気になったら、私にもご褒美をください」

「褒美?」


目を逸らさずに、しっかり課長を見る。

課長も真っ直ぐに私を見ていた。


「私を抱いてください。あの夜のように、女としての私を」

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