満たされる夜
「くっ……」


「あっ、課長…」


あの夜もそうだった。

私を逃がすまいとするかのように激しく、だけど優しかった。
愛おしそうに触れてくれた。



「課長じゃない。この前教えたはずだ」

「裕二、お願い…」


課長は動きを止めて、私に優しく触れるようなキスをしてくれる。
熱を帯びた目。私が、私だけが映っている。


「どうしたい?」

「欲しい。早く、このままでいいから。このまま、私の中で…」


仕事の鬼の課長とこんなことになるなんて。

あの夜、酔っ払わなかったら。
課長の水を飲まなかったら。
課長に触らなかったら。
きっと何もないままだった。


「めぐみ、ずっと俺を満たしてくれ」


課長の熱が私の中を更に熱くさせる。

もっと深く、もっと早く、もっと―――。


あの夜だけじゃない。
今夜も私は、満たされる。
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