トレモロホリディ
「同じ大学の、テニスサークルの先輩だったの。

1年生にテニスを教えてくれる、面倒見の良い先輩で。

面白いし、気さくだしね。

サークル内でも女の子達から人気のある先輩だった。

2年の初めに先輩から付き合うかって言われて。

突然でビックリしたけど、好感の持てる人だったし、嬉しかったから。

だから私、はいって返事しちゃったの」


「そか…。

でも、別れちゃったんだね。

どうして?」


「う…ん」


思わず口をつぐんでしまう。


「あ、言いにくいことだった?

いいよ、無理しなくても」


ミナト君が焦ったように言うから、ふふっと笑ってしまった。


ミナト君って、やっぱり優しいよね。


先輩と別れた理由。


友達にも誰にも話したことがなかった。


ミナト君になら、言ってもいいかなあ…。


なぜか…。


そう思った。

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