トレモロホリディ
「湊のことだけどさ…」


「うん…」


「アイツね、彼女がいるんだよ」


壮真君の言葉に、ドキッと心臓が跳ね上がる。


名前…、めぐるちゃんだったよね。


多分。


ううん。


絶対。


すごく、可愛い子…。


「でもさ、形だけの彼女なんだ…」


少し声のトーンが変わる壮真君。


なんだか余計にドキドキしてしまう。


「湊が初めてウチの店に客として来た時、まぁビックリするほど暗くてね。

一緒に来ていた湊の会社の友達が、コイツすげー落ち込んでるんですよーって教えてくれて。

それでまぁ俺、湊と飲みながら、色々話を聞きだしたんだけど。

その時に話してくれたんだ。

彼女の話…」


湊君…。

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