トレモロホリディ
キミがいない
湊が店に現れたのは、


定休日の関係もあって、


湊の誕生日から4日後のことだった。


「お疲れ様です」


カウンターにいる俺の前に立つ湊は、どこか疲れた顔をしていた。


「おう。お疲れ」


一応、笑顔で返してやる。


「あの…、すみませんでした。

ご迷惑かけて…」


そう言って頭を深く下げる湊。


思わず鼻からフッと息を吐いた。


「ホントだよー。

この時期で一番売上が出せる日だったのに、まさかの主役がドタキャンとは。

みんなで必死にお前のフォローにまわったんだからなー。

他のスタッフにも謝っておけよー」


「はい…。

本当にすみませんでした…」


「いいよ。大丈夫だから」


普段、全然休まないヤツだしな。


もうこれ以上、何も言うつもりはない。

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