トレモロホリディ
隣のミナト君の部屋の扉の前。


ドキドキしながらインターホンを鳴らすと、すぐにミナト君がドアを開けて顔を出した。


「おはよう」


「はよ。じゃあ行こうか」


今日のミナト君はVネックのカットソーにデニムのシャツを羽織っていて、ベージュのパンツを爽やかに履きこなしている。


うーん。やっぱり美男子は何を着ていてもかっこいいよね。


外に出て来たミナト君がドアを閉めようとすると、みゃーという鳴き声が聞こえて来た。


ちらり部屋を覗き込むと、猫ちゃんが瞳をウルウルさせながら、こちらをじっと見ていた。


「うわー、置いて行けなくなるような顔だね」


「でしょ?

毎回こうだからホント困るんだ。

でも、しょうがないよね。

連れて行くわけにもいかないし」


そう言ってミナト君は、少し寂しそうに扉を閉めた。

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