トレモロホリディ
み、湊君!


いいの?


そんな大事なこと、簡単に決めちゃって。


「彼女とはずっとすれ違いだったんです。

生活パターンも全く逆ですし。

一緒になれるなら、それが一番嬉しいので…」


ひゃ~。


そんなこと、恥ずかしげもなく言わないで~。


「じゃあ、決まり?」


人事部長がにっこり笑う。


「はい!」


湊君は元気に返事をした。


う、うそー!


湊君、すっかりその気にさせられてるよー。


このご夫婦がタッグを組むと、恐ろしく強力だな…。


「よろしくね」


人事部長が手を差し出したので、湊君が手を差し出した。


固く握手をする二人。


その後、社長も湊君に手を差し出した。


「よろしくね。遠野君」


「よろしくお願いします!」


私はその様子を、ただ呆然と見つめていた。



嘘みたいだけど。


こうして湊君も、私と一緒に久遠グループに勤務することが決まったのだった。

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