トレモロホリディ
「ミナちゃん、お酒強い?」


ミナトがミナちゃんに問いかける。


「ううん、あんまり強くない。

でも、全然飲めないわけじゃないよ」


「んー、じゃあ甘いカクテルの方が飲みやすいかな?

俺が決めていい?」


ミナトがにっこり笑ってそう言うと、ミナちゃんはうんと頷いた。


ミナちゃんにお酒を用意する前に、ミナトは梨香ちゃんのところへと走った。


自分目当ての客をほうっておくわけにはいかないからな。


ミナちゃんはと言うと、こういうところに免疫がないのだろう。


キョロキョロと店内を見渡し、なんだか落ち着かない様子だ。


「ミナちゃん、こういう店って初めて?」


「あ、はい…。

そのうち穂波さんと一緒に来るつもりだったんですけど、まさかこんなに早く来ることになるなんて…」


「穂波さんは、最近来てないなー。

ほなみはウチと定休日が同じだしね。

穂波さん、あんまり仕事休まないから。

穂波さんを待ってたら、いつ来られるかわからないよ」


「あ、ミナト君も同じことを言ってました。

穂波さんの予定に合わせてたら、いつになるかわからないよって」


「だから今日誘われたの?」


「はい。私は今日お休みなので」


「そっか。

お酒を飲みながら気楽に話すだけの店だから。

リラックスしてね」


俺の言葉に、ミナちゃんはほっとしたような顔をした。

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