クライムハザード

 そして、なにより。

 鹿羽夜魅。

 いつも貼り付けたような微笑みを浮かべる彼女が、大きな目を三日月のように細めて、至極楽しそうに笑ったのだ。それは、今までに見たことのない造形だった。

 思わず、息を呑む。

 ああ、彼女は本当に……在り来たりな言葉だが、美しいんだと思った。

 艶やかな唇が、綺麗な弧を描く。

「仕事だよ」

 彼女は目尻を僅かにゆるませ、俺を見据えて、一言。

「とびきり楽しいパズルの時間だ」

< 18 / 105 >

この作品をシェア

pagetop