クライムハザード
 ★

 昨日の事件の書類を前に、俺は大きく息を吐いた。

 例の現場写真が瞼の裏に焼き付いて、頭から離れない。そのおかげで、食事がろくに喉を通らない。食道を通過していくのは、ミネラルウォーターだけだ。

「見掛けによらずナイーブだねぇ」

「そう言うあなたはタフですね、見掛けによらず」

「あれぇ、気に触っちゃったかな? 褒めたつもりなんだけど」

 鹿羽夜魅は、水を得た魚のようにいきいきとしている。

 昨日、司法解剖に立ち会ったからだろうか。

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