クライムハザード
俯き加減に、彼女はぽつりぽつりと語りだした。
「私、あの日は残業で……いつもよりずっと、帰るのが遅くなってしまって。家に着いたら、玄関の鍵、掛かってなくて……ドアを開けたら、なんか変な臭いがして。そ、そしたら、お姉ちゃんが……」
「……そう。よく話してくれたね。ありがとう」
今にも泣き出しそうな静さんの肩を、彼女が抱き締める。その行動がなんだか普段の彼女とちぐはぐで、面食らってしまう。
(人並みの感情も、持ってるのか)
ふと沸き上がった疑念。
それが何に向けられたものかはわからないが、俺は何か引っ掛かるものを感じていた。