クライムハザード

 柔く結ばれていた口元がゆるみ、ゆるやかな弧を描いた。

 ゾクリとする、美しさ。

 たとえるなら、そう、氷。

 曇りなく透明で、研ぎ澄まされた刃物にも似た、絶対零度の微笑。

「キミが今日からワタシの部下なのかな?」

 身に纏う雰囲気とは掛け離れた、豊かな抑揚。

 俺はただ瞬きするだけで、二の句が継げなかった。

< 7 / 105 >

この作品をシェア

pagetop