あたたかい場所


晴輝さんは本当に楽譜を届けに来ただけのようで、美紗と何を話すでもなく鞄を持って玄関に歩いてくる。

「あ、聡これやるわ」
晴輝さんも靴を履いて、帰るモードになっていた時に
美紗は冷蔵庫からペットボトルのスポーツドリンクを持ってきて渡してくれた。


「ありがとう」

「いーえ。はい、そんなら明日な!おやすみ!」
背中をグイグイ押されて部屋を出された。
すぐに鍵の閉まる音がして、バタバタと部屋の中へ走っていく音もした。



酔ったり寝たり元気になったり…忙しいなぁ、美紗は。



「俺の停めてるとこちょっと歩くけどいい?」

「全然大丈夫です。すいません、送っていただくなんて…」


「いーのいーの。もうマネージャーみたいなもんだしさ」

そう言って笑ってくれる晴輝さん。


晴輝さんって、嫌な感じとか全くしないんだよな。


人の良さが滲み出てるっていうか…笑顔が人懐っこいし。
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