あたたかい場所

言っておいてクサいな、と思った。

伝えたいことは沢山あってごちゃごちゃしていたのに、
言葉はすんなりと出てきた。

僕ごときの言葉なんか利くはずはないけど、それでもいい。ただ思ったことを、伝えたかっただけ。



「聡、いつのまにそんな大人なったん?」

「え?」

「ありがとう」
美紗は何だか、重い荷物を降ろしたようにホッとしたような顔をしていた。

僕が思っていることは…伝わったかな。


手紙は大量だったけど、それは世界っていう大きな規模から見ればごく少数で。

美紗を応援している人の方が、きっと多い。

美紗にはそのことを、ちゃんと分かっていてほしかった。


それからその人たちの為に、明るく笑っていてほしかった。


僕は、幼馴染みでもありマネージャーでもあり、美紗のいちファンだ。



美紗にはずっと元気で、歌っていてほしい。
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