小さな主人と二人の従者~眠る前に~
 ギャレットはしばらく不満そうな顔をしていたが、パッと明るく笑った。こういう場合は危険なので、安心できない。

「用事を思い出したから、出かけてくるね」

 窓から外へ出ようとするギャレットにケネスが質問する。

「モナにでも頼む気か?」
「それは私も思った」

 ケネスとジュリアは同じことを考えていた。

「そうじゃないよ。買い物へ行くだけ」
「ふうん・・・・・・」

 ジュリアもケネスと同じようにギャレットの嘘を以前より見破ることができるようになっている。
 ギャレットは他者のようにちょっとしたしぐさで嘘をばらすことはしない。ポーカーフェイスを装うことが得意だが、長い間、一緒に住んでいることもあり、僅かな表情の変化があることに気づくようになった。それに加えて、ギャレットにとって都合のいいように行動することを先読みすれば、嘘か本当か少しはわかる。

「二人して無言でいられると怖いよ」
「モナはもう家に帰って、遅い食事をしているか、お風呂に入っていると思うよ」

 言っても意味がないことを悟らせると、ギャレットはそれ以上足を前に出さなかった。
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