どうしようもないくらい好きでした(仮)



「もちろん、ファッションの一つの形だって人がほとんどだろうけどね。」


陸は私の動揺を読み取ったように、優しく笑う。
それでも、髪をかきあげられむき出しの耳は隠しきれはしないのだ。


「俺だって自覚がある訳じゃないんだ。でも、こんな風に刺青を入れてる事って、やっぱり普通ではないかもしれないとは思うよ」


「後悔してるの?」


「まさか。俺にとっては、証みたいなもんだから。それでもやっぱりコレも、ななのピアスも傷には変わりない。自覚が無いにしろね」


そんな事、今まで考えた事すらなかった。
それでも意味もなく増え続けた傷は、やはり異常な事なのかもしれない。



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