あたしの証~番外編~

家族

車の助手席にあかりが乗ったのを確認すると、俺は車を発進させる。
場所はどこでもいいらしい。

とにかく、どこかに出かけたいんだと。


そう、言われても俺に思いつく様なとこはなかなかない。
こいつは客と違うし、そういった所を喜んではくれるだろうけど、違うんだよな。


「あ、そうだ。洋服買いに行きたい」

「珍しいな」

「うん。そろそろお金貯まりそうだから」

「成程」

「だから、どこかファッションビル…」

「わかった」


じゃあ、あそこだな。
そう決めて、あかりに行き先を教える事無くその場所まで進んだ。


着いた先は、六本木ヒルズ。
駐車場に来た時に、あかりは口をぽかんと開けて俺を見ていた。


「ちょ、ゆうや!高いって!もっと安くていいんだよ!」

「…アホか。俺と一緒に出かけてるのに払わせるわけねえだろ」

「何言ってるの!奢ってもらうつもりなんて…って、ゆうや!」


あかりの言葉を待たずに、俺は車から降りると先に歩く。
慌てて俺の後ろについて来たあかり。
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