この手を握りたかったから
包まれた手の温もりが気持ち良くて、キレイな手をボ〜っと見つめていると、悟の顔が近付いて来てキスを落とす。

カラダから程よく力が抜けて、フワっと心地良い感覚が全身に走る。

目を合わせ、穏やかな笑みを浮かべる悟を心から好きだと思う、とても幸せな瞬間。



「あったまって来たね。」

「うん。ありがとう。」



私の手に被さっていた手をほどいた後、悟は私の左手を取り、しっかりと繋いだ。

恋人繋ぎにした手を自分のひざの上に載せ、それを満足そうに眺めている。

その表情が何だか可愛くて、やっぱり私はキュンとしてしまう。



「中学の時の悟と今の悟、ちょっとイメージ違うかも。」

「そんなに違う?」

「もっとクールな感じだと思ってた。」

「あぁ、俺、目つき悪かったからなぁ。」

「どっちかって言うと、男らしくてカッコ良いイメージだったから、こんなにカワイイ顔して笑うとは思わなかった。」

「そう?」

「うん。」

< 5 / 11 >

この作品をシェア

pagetop