戻る条件『魔王討伐』
プロローグ
私はぼんやりと窓の外を眺めていた。
数学なんて何に使うんだろう。
足し算引き算かけ算わり算が出来れば十分じゃないか。なぜわざわざ難しくするのだろう。そんなのは数学者にでも任せておけばいいのだ。
そう考えていると、今しているとこがたまらなく無駄なことに思えてしょうがない。
教師が黒板に書いていくことを意味もわからず写しているとチャイムが鳴り、挨拶を済ませた教師が出ていった。
私はノートをとるのをやめて頬杖をついた。次は物理、理系教科続きだ。これも専門家に任せておけばいいのに。
私は教室を見回した。
一人の机に集まってお喋りに華を咲かせる女子達と馬鹿話で盛り上がる男子達、ひっそりと小難しそうな本を読む生徒、持ち込み禁止の携帯をこっそりいじくる生徒、宿題を終わらせていないのか答えを写す生徒、机に突っ伏して寝る生徒、何もせずぼんやりする生徒………
仲良しの子のところにでも行って何か話でもしようかと立ち上がったその時、不意に視界が白一色に染まった。
立ちくらみかと思ったが、頭も痛くないし転んだ感じもない。
とりあえず何も解らなくなった。
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