妖精と精霊と人間と

第二十一話 第二の部屋

 階段を上ると、目の前に扉があった。その扉は、押しても引いても、上に持ち上げても横に流しても、開かなかった。オークのデントの力でも、だ。
 「月よ。闇を照らし、我等の足元を照らし出せ!ムーンリット・ナイト!!」
 北斗がそう叫ぶと、夜の闇に移る光がドアに降り注いだ。すると、ドアに埋め込まれている銅像がこう言った。
 「アルトコロニ、君ト共ニ戦火ヲ乗リ越エタ二人ノ戦友ガ居ル。アル日ノ戦争デ、君達三人ハ敵ニ捕マッテシマッタ。敵ハ君達ニ言ッタ。『ドチラヲ選ンデモ、オ前ハ助カル。ダガ、友ハ一人シカ助カラナイ。』ト。サテ、君タチナラドウスル?」
 「何だよ、これ・・・二択、だろ?」
 美咲はそう言うと、北斗を見上げた。彼は口元にうっすら笑みを浮かべ、終には笑い出してしまった。美咲は一瞬驚いたような表情を見せたが、長い付き合いなので瞬時に納得した。北斗が今から何をしようとしているのか。
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