君と歩く未知
 カズくんとアタシの考えが一つになった。
アタシの今にも揺らいでしまいそうだった決意は、固いものになった。
アタシ…赤ちゃんを産むよ。
この子を幸せに育てるよ。
そりゃ、お金はないし、生活はギリギリのものになってしまうと思う。
だけど、この子を精一杯の愛情をかけて育ててあげたいの。
大丈夫だよ。
アタシとカズくんは二人で一つ。
きっとどんな困難も乗り越えていけるよ。
 アタシはカズくんの胸から顔を上げた。
「お?泣き止んだか?」
カズくんがアタシの顔を見て笑みを含んだ声で言う。
「泣いてなんかないよーだ!」
アタシはそう言ってカズくんの腕を取った。
腕を組んで、アタシたちは改札口へと向かって行った。
いつもより早い登校。
幸せを体いっぱいに感じていた。

 でも、アタシとカズくんの幸せな姿はそのまま朝焼けの中に消えて行ってしまった。
もう取り戻せないけど、思い出せば切なくなってしまうだけだけど…
アタシはあの日のことを一生忘れない。
アタシのお腹に降りてきてくれた小さな天使…アタシの赤ちゃんのことを、一生忘れないよ。
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