好きと言えなくて
お昼休みになり、事務所に越智さんが顔を出した。

「松山さん、このクマのキャラクター、好きなんですか?」

越智さんが、私のお弁当箱を指差して言った。実はコレ、正義が好きなキャラクターなのだ。私はあんまりこだわらない。

「うん、まぁね」

「へぇー……。私は、このうさぎが好きなんです」

かわいらしい越智さんに、ピッタリだと思った。

「いただきます」

ひとりで食べているほうが気楽でいいや……と思いながら、ついでにお茶をいれてあげた。

「ありがとうございます! 今日は、松山さんに相談したいことがあって」

「私に? 力になってあげられるやろか……」

「松山さんなら、信頼できるというか……安心して打ち明けられると思ったんです……」

いつもの笑顔を消した越智さんが、私を真っ直ぐにみつめる。

「松山さん、一目惚れしたこと、ありますか?」

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