好きと言えなくて
寿退社
翌日、うららちゃんは仕事を休んだ。さっそく、産婦人科に行ったんやろう。単なる生理不順ってこともあるやろうし、どちらにしても、病院には行ったほうがいいわ。

出勤してから私は、時計ばかりを気にしていた。正義、ちゃんと来るやろか……。

「おはようございます」

正義の元気で明るい声を聞いて、私の取り越し苦労でよかったと思った。

「正義、おはよう」

「おはよう、葉子さん」

先ほどの明るい声に反して、私への挨拶は、なんだか元気がない。

「お弁当、忘れんといてな」

「……ありがとう」

「どうしたん?」

やっぱり元気がない正義に、つい聞いてしまう。

「あ……いや……。あの……今日の夜、いつもの店でご飯、食べへん?」

「いいよ」

私が微笑むと、正義もやっと笑顔を見せてくれた。

「ありがとう、いってきます」

「いってらっしゃい!」

今夜は、タップリかわいがってあげよう。
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