嘘つきなポーカー 1【完】


だが由佳は手のひらを突き出して、答える。


「いい。1人で帰れる。」


どういうわけか、由佳は薫の顔を直視できなかった。


「華代、料理すごく美味しかった。皆も、楽しかったよ。ありがとう。」


そして由佳は「じゃあ皆、楽しんで。」と言い残し、逃げるようにしてその場を去った。


用事があるなんて本当は嘘だ。

本当は一刻も早く、この場から抜け出したかった。

何だか由佳はこの場に居たくないと思ってしまった。
このままここに居続けると、何かに押し潰されそうな気がしてならなかったのだ。


由佳は冷たい風の吹き付ける道を、1人黙々と歩いた。


先程の薫と奈津子のキスシーンが何度も由佳の頭に浮かんだが、その度に由佳はそれを振り払った。




< 363 / 451 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop