嘘つきなポーカー 1【完】


昼休みを告げるチャイムが鳴ると、由佳は非常階段に向かった。
昼休みはこの場所で過ごすのが、毎日の習慣になりつつあった。

そして非常階段のドアの前まで来ると、周りに誰もいないことを確認してドアを開けると、いつもの特等席である踊り場に腰を下ろした。

由佳は大きなため息を吐いた。
やっとゆっくりとした時間を過ごすことが出来る。


そして由佳が鞄から弁当を取り出そうとした時だった。

非常階段のドアが突然音を立てて開いた。

由佳は驚いて、弁当を取り出そうとしていた手を思わず止めた。
そして開いたドアのほうに目をやった。

非常階段に入って来た人物を見て、由佳は更に驚くことになる。


「小野寺薫…。」


そこには薫の姿があった。


由佳は咄嗟に鞄を両手に抱えて立ち上がり、警戒する体勢を取った。


目の前にいる男は、それはそれはとても綺麗な顔立ちをしていて、まるで少女漫画から出てきた王子様のようだった。
これは女子が黙っていないのも頷ける。

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