優しくないっ、優しさを感じない!


すると突如、教室内に響いたのはあたしの名前を呼ぶ声。レナちゃんの素晴らしさに打ちのめされていたあたしには、それが誰のものかハッキリ分かってはいなかったんだけど、


「あ!ヒロちゃん、中村君だよ!」

「えぇ⁈ 」


そんなレナちゃんの呼びかけで、少し遅れながらもちゃんと気がつくことが出来た。だから慌てて教室のドアの方へと顔を向けると、そこには今日約束をしているコースケの姿が。


「え、何?どうした?もしや今日ダメになったとか⁈ 」


不安になったあたしは席を立って慌ててコースケの元へと駆け寄る。するとコースケは「いやいや、謎に慌て過ぎだしな」なんて、そんなあたしを見て遠慮なしにゲラゲラと笑いやがった。


「んなっ、笑う事無いじゃん!失礼なんだけど!」

「いやだっておまえ、自分がどんなだったか分かるか?」

「?、分かんないけど…何?どうだった?」

「おう、こんな感じ」


そう言って見せられたそれは…やけに目を丸くして口を開けた間抜け面で、バタバタと忙しない動きで走っているような動きをする、コースケの姿。

……なるほど、それがあたしの真似だと。再現だと。つまり今のあたしだという事か。


「……絶対違う!」


違かったと、信じたい。



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