優しくないっ、優しさを感じない!


そして、「お願い、レナちゃん」と、深々と頭を下げたまま、あたしが切に願った、その時だった。


「…っ、わた、わたし…っ」

「……」

「わたしっ、…っ、グスッ…」

「…え?」


聞こえてきたそれに、思わず顔を上げる。

すると目に入ったのは…次々と溢れ出る涙を拭う、レナちゃんの姿だった。


「れ、レナちゃん⁈ 大丈夫⁈ 」

「ふうっ、…うう…っ」

「って、大丈夫じゃないよね、ど、どうしよう…」

「…っ、…」

「…わ、分かった、とりあえず保健室行こ。そうしよ。ね?立てる?」


そして、保健室に行く旨をクラスメイトに伝えて貰うことにして、あたしは泣きじゃくるレナちゃんを連れて教室を出た。

保健室に向かうまでの間もずっと、レナちゃんは泣き続けていた。




***




保健室に入ってきたあたし達を見て、先生は一瞬驚いた顔をしながらも、「どうしたの?」とすぐに聞いてくれた。だからあたしが「レナちゃんがちょっと体調悪くて…」なんて答えると、先生はやれやれと少し困ったように笑う。

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