優しくないっ、優しさを感じない!


胸にこみ上げた想い。それを全て口に出した。言いたい事を、伝えたい事をちゃんと言い終えた。そんなあたしが口を閉じるとーーそれから、暫しの沈黙が続いた。


始めこそ、なんだかスッキリした余韻に浸っていた。浸っていたけど…いくら待てど、返ってこない反応。聞こえてこない返事。それを意識した瞬間、続く沈黙が気まずいものへと、姿を変える。


あたし、なんかマズイことでも言っちゃったかな…いや、今はフツーにお礼というか、まぁそんな想いをツラツラと…でもなんか細かく何を言ったのか覚えてない。いや、でも変なことはもしかしたら言ってたかもしれないけど、間違った事は言ってないはずだよね?そ、そうだよね…?


あたしは、だんだん不安になってくる。

ドキドキビクビクしながら、そんな沈黙に耐えられなくなって思わず、「進藤…?」なんて声をかけた、その時だった。


『じゃあつまり、そんな俺の役割は終わりって事か』

「…え?」


耳に入って来た言葉、それにあたしは一瞬思考が停止する。


「え、それって、どういう…」

『だってもう、おまえの悩みは無くなったって事でしょ?』

「え…まぁ、そう…だけど」

『だったらさ、もう俺に話すような事も無いし、俺が必要になる事もないよね』

「……」


……何を、言ってるの?

もう進藤が必要ない…?


「そんな事、そんな事ない、」

『じゃあ何?なんで必要なの?』

「……」
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