甘く、苦く [短編]
「はーるとっ!」


放課後、の教室に元気な声が響いた。
廊下の窓から可愛い顔を出すのは、俺の幼馴染み。

名前は、みのり。


「一緒に帰ろっ?」


『あー、うんっ』


舞い上がる心を押さえて、急いで準備した。

でも俺は、みのりと並んで歩くのが苦手だ。

理由はー…。
169.5の高身長のみのりと、166の俺との差が大きいから…。


「春斗?」


『えっ?
ああ、ごめん』


「あ、あの人かっこいー」


そう言って、みのりは立ち止まった。

みのりが見つめる先には、高身長の男。


『やっぱ、デカい男がいいんだ?』


「当たり前っ!
自分より小さい人は恋愛対象外だもんっ」


ニコっと可愛い笑顔を見せるキミを、欲しいと思った。

でもキミを手に入れるには、まず身長を手に入れなくちゃ…。

キミを見上げなきゃいけない。
そんな俺は、かっこ悪い。


『恋愛対象に、入りてぇよ…』
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