Moon Light


疲れた…。こんなに神経を使うものだとは思わなかった。



やはりこの行事は幸せの絶頂にいるからこそ出来うることであって、心ここにあらずの私には苦痛以外のなにものでもなかった。



着替え終わった控え室で1人溜め息をつき頭を抱える。やはりこの結婚はするべきじゃなかったのかもしれない。



でも実際はあれよあれよと話が進んでしまい私の力ではどうすることも出来なかったのだ。



トントンとノックする音と共にすぐ開かれた扉の向こうから優しく微笑む正樹が入ってきた。




「どうした?疲れた?」



「あ、うん。ちょっとね」



「そか。じゃあ到着するまで休むといいよ。さ、行こう」



正樹に促されその場をあとにして新婚旅行先の温泉へ向かう。



なぜ温泉かというと、彼は大手メーカーに勤める技術者で海外出張が多くいろんな国へ行ってる。そこであえて私が国内を勧めたというわけ。



心地よい車の揺れで疲れのピークに達していた私はいつしか眠っていた。


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