百物語

大騒ぎだったよーホント。

校長先生がほかの子たちといなくなった子の家に謝りに行って、警察がいっぱい来て。




最終的に、その子、庭にあっためっちゃ古い井戸の中から見つかったの。


蓋がしてあるから井戸で、庭の落ち葉ですっごい埋もれてて、何かの拍子に落ちるとかムリなんだけどね。


変なのはさ、井戸の底から見つかったその子、動物に食い殺されたみたいなメチャメチャな死体だったの。

親、顔見せてもらえなかったっていうよ、グロすぎて。



たしかにあの夜、みんな犬の声が怖くて逃げ出したし、警察が調べたら近くの人も犬の声聞いたっていうけど、犬が人間を井戸にひっぱりこんで蓋までするなんてあり得ないじゃん。


でそれだけじゃなくて。


井戸の底、その子の遺体とね、人間と犬の骨が見つかったんだって。

その人間の骨も犬の骨も、すっごく古いものだったんだって。

たぶんこの家の昔の持ち主で、井戸に落とされて餓死したんじゃないかっていうことだったよ。



要するにその子、餓死した犬の幽霊に食い殺されたの。



まあそんだけなんだけどね。ゴメン、そんな怖くなかったよね!


ウチ?

だから行ったことなかったんだってば。



あ、でも一回だけ声なら聞いたことある……。ううん、犬じゃなくて人のほう。













『飼い主より前に食うな』っていう、ね。

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