大工さんに恋していいですか?おまけ追加中
1.出会い
日差しがきつくなってきた5月。

私は、保険外交員の仕事をしている。

名前は、吉田 羽菜(よしだはな)25才。

今日は5件の家を訪問するために、自分のエリアを歩いて回っていた。

・・・ふぅ~。思わず深い溜息をついた。

だって、私のエリアは、とにかく坂道が多い。5件だけだからと、

歩いて回ったのがいけなかった。

額に薄ら浮かんだ汗をハンカチで押さえ、1件の家を目指す。


…私はその家の一軒前の家で、足を止めた。

この家は、昔からある家で、古風な家だった。

それが、数日来なかっただけで、骨組みだけになっていたのだ。

私はその家をしばらく見つめていた。

結構好きな家の作りをしていたから、ちょっと残念だったからかな。


・・・あ。

私は屋根の上にいる一人の男性に目が釘付けになっていた。

…大工さんかな?

頭にはタオルを巻き、手には薄くて長い板と金づちを持っていて、

口には釘を咥えていた。

…私は職人さんが好きだった。…自分の父親が職人だからかな。

しばらくその男性を見つめていると、リズミカルに、釘を打ちつけている。

それがなんとも心地が良かった。

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