大工さんに恋していいですか?おまけ追加中
「羽菜さん!」


…前に、おばあちゃんが、彼女の事を羽菜さんと呼んでいたのを

忘れていなかった。


・・・彼女は驚き振り返った。

「・・・・」

驚いた顔のまま、オレを見つめている。

・・・こんな事をするのは、初めてで、顔は、赤くなっているかもしれない。

恥ずかしくても、これだけは渡しておきたかった。


「・・・これ」

「・・・これは?」

「この前のお礼です」

「・・・・」

オレの言葉に、なぜか潤んでいる瞳になった羽菜。

「あの、気に入らなかったら、捨ててください」

「・・・」

何も言えずにいる羽菜を置いて、オレは頭を軽く下げ、

現場へと帰っていく。





「あの!・・・ありがとう・・・ございます」

そう振り絞った彼女の声に、オレはそっと振り返った。


…少し離れているせいか、羽菜の頬に、光るものが見えたのは、

オレの勘違いだろうか?
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