大工さんに恋していいですか?おまけ追加中
「博さんならいませんよ」

「・・・え?」

思ってもいない言葉に、言葉を失う。

こうやって仕事をしているのに、なぜ博さんだけいないのか。

分からなくて、男の子を見つめた。


「今日は、午後から用があるとか言って帰りましたよ」

「そう、ですか・・・」

「めったに着ないスーツなんか来て、デートかな?」

「・・・え」

落胆する私を、更にどん底へと陥れる言葉だった。

私は男の子にサヨナラの言葉さえ思い浮かばず、暗い表情のまま、

トボトボと歩き出した。


「あの、今の冗談!・・・ですから」

男の子のその言葉は、何も考えられなくなった私には、届かなかった。


やっぱり、もう、思い続ける事すら、

私にはできないのだろうか・・・



私は、人を好きでいる事さえ許されないのだろうか。

そう思ってしまう程、心は傷ついていた。

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