大工さんに恋していいですか?おまけ追加中
それを見た私は、少し安心した。

「…洋二は、転職って言ってたけど、

今の工務店に転職だったの?」


「あぁ。建設会社で働いてたけど、ビルなんかの建設ばかりで、

面白みに欠けるって言う時に、たまたま今の工務店の設計士と

知り合って、よかったらうちに来ないかって、誘ってくれて」


お弁当を食べながら、洋二はそう言って、遠くを見つめた。


「そっか・・・洋二も頑張ってるんだね。

仕事、順調そうだし、その・・・彼女とかもいるんじゃない?」


洋二の顔は見れなかった。

どんな顔をしていたらいいかわからなかったから。


「軌道に乗ったのは、今年に入ってからだよ。

それまで、仕事一本で頑張ってきたから、彼女なんていない」

「・・・そっか」


…いつの間にか終わったお弁当を、互いにしまい、

「お弁当箱、頂戴」

「…洗って返すから」

「い、いいよ。洗う事くらい、大したことじゃないから」

「いや、これは人質。…羽菜にまた会う口実」

そう言った洋二は、お弁当箱を持ったまま、その場を去ってしまった。

・・・その場に残された私は、しばらく放心状態だった。
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